奈良の鹿は、神の使いとして大切にされてきています。
しかし、紙袋などを誤って食べてしまって死に至るケースも多発しているのです。
この記事では、
奈良の鹿と触れ合う時に、人間が注意しておきたい「紙」について
説明しています。
鹿との楽しい時間を過ごすはずだったのに、鹿の命に関わることをしてしまっていたら、悲しいですよね。
奈良の鹿に限らず、鹿がいる地域では、気をつけてほしい内容。
鹿は紙を食べる動物だなんて勘違いしていませんか?
奈良の鹿に会いに行く予定をしている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
奈良の鹿は紙など何でも食べる
奈良の鹿は、紙など、何でも食べてしまいます。
しかし、紙などを食べてしまうと、消化されずに胃の中に残ってしまい、死に至るケースが多発しています。
- 隙があればパクリと食べてしまう
- 実際に紙袋を食べられそうになる話
- 鹿に取られたら命取り!取り返せ!
実体験に基づいて、お話します。
隙あらばパクリゴクリ!と胃の中へ
鹿が食べるのは鹿せんべいだけではありません。
人間が持っている持ち物に興味を持ちます。
おとなしく、可愛い顔をして、実は隙を狙っているのです。
隙ができた瞬間にものすごい速さで奪い食べてしまいます。
以前、観光客が手に下げているビニール袋を狙ってビニール袋を一瞬で食べてしまっていたのを見たことがありました。
ビニールはもちろんのこと、紙なども、鹿が食べたら胃の中に残ってしまい消化されずに死に至るケースが多いそうです。
鹿に取られて笑っている場合ではなく、鹿の命に関わる一大事。
奪われたら飲み込まれる前に人間も必死に取り返す必要があります。
荷物はカバンひとつだけで、ビニール袋や紙袋など、買い物した袋は持ち歩かないことが一番です。
買い物は、鹿と遊んだ後に行くのが、鹿に対するマナーに感じます。
実体験!紙袋がおいしそう
鹿せんべいが1枚だけ余り、買い物帰りにあげに行こうと、紙袋を持ったまま奈良の鹿に近づいたことがあります。
買い物したばかりの紙袋が紙のいい匂いがしていたのですが、何も気にせず、鹿せんべいを差し出しました。
すると、鹿は、鹿せんべいではなく、差し出した手に掛かっていた紙袋をものすごい速さで噛みちぎったのです。
すぐさま、紙袋を持っていることを後悔しました。
なぜなら鹿は、鹿せんべいより紙袋に興味を示してしまったからです。
紙袋の中身は散乱しましたが、それより何より、鹿が紙袋の取っ手をむしゃむしゃしていました。
飲み込まれる前に取り返す!
と、即座にむしゃむしゃしている取っ手をつかみ引っ張りました。
鹿も食べたいので、引っ張ります。
私は尻もちをついていましたが、自分の撒いた種です。
必死でした。
鹿も負けていないですが、「食べたら死んじゃうよー!!」と鹿に言いながら、引っ張りました。
鹿が一瞬、油断した隙に、取っ手と鹿せんべいを入れ替え、無事に取り返すことができました。
狙いは中身よりも袋!食べられたら取り返せ!
鹿の狙いは中身よりも袋だったのです。
鹿せんべい以外は、食べられたら取り返さねばなりません。
鹿目線で考えると、確かに私が持っていた紙袋は、とても美味しそうないい匂いがしていました。
何も考えずに、紙袋をぶら下げて会いに行ったせいで、目の前の鹿は命の危険にさらされてしまいました。
紙の取っ手を取り返したことに安心しましたが、軽率な考えで紙袋をぶらぶらしながら歩いた私。
鹿は口の中に入れたら吐き出せず、なんでも食べてしまう動物です。
奈良の鹿に非常に申し訳ない気持ちになりました。
一番は鹿が見えるように持ち歩かないことですが、もし食べさせてしまった場合は鹿の命に関わります。
ものすごい速さで食べようとしますが、飲み込まれる前に、瞬時に取り返す行動に出ることです。
奈良の鹿が紙を食べるとどうなる?実態を知ることができる施設
春日大社境内に、鹿苑(ろくおん)という奈良の鹿保護施設があります。
現在(2024.9月時点)、改修工事中なので見学ができませんが、工事が終了したら見学におすすめしたい施設。(2025年3月31日まで工事予定)
施設の特徴は以下です。
- 鹿に関する身近な情報や資料の展示
- 交通事故にあったり問題があった鹿が集まる
- 栄養ある餌かどんぐりをあげる
新しくできる施設では若干変わるかもしれませんが、以前の施設の特徴です。
鹿に関する身近な情報や資料の展示
鹿苑は、奈良の鹿愛護会が運営する施設です。
鹿苑に入ると、奈良の鹿の資料がいろいろ展示されていました。
奈良の鹿の交通事故多発地点が示されているなど、身近な情報があります。
鹿がまちにいると起きることがわかりやすく理解できる展示です。
毎年10月上旬におこなわれている、有名な鹿の角切りは、鹿苑でされているようです。
展示を見るだけで鹿のことを知ることができる、おすすめの施設です。
交通事故にあったり問題があった鹿が集まる
車との接触事故や人とのトラブルなどでケガをしてしまった鹿や、妊娠している鹿など、保護された鹿が鹿苑でしばらく生活するようです。
また、農作物被害を起こした鹿や、傷病で重症等により開放が困難な鹿のためのシェルターもあります。
保護されている鹿は、約300頭。
妊娠した鹿は、母鹿が安心して元気な子鹿を出産できるように、また、子鹿の安全も考え、母鹿と一緒に行動できるようになる7月中旬ごろまで鹿苑で過ごします。
多くの鹿が暮らす施設。
事情はそれぞれですが、奈良の鹿に会いに行くならば、ぜひ一度足を運んでみてください。
栄養が入った鹿の餌かどんぐりをあげる
鹿苑では、鹿に餌をあげることができますが、鹿せんべいではなく、鹿の餌をあげます。
ガチャガチャから出てきたカプセルを持ってその先に進むと、鹿が、奥の方にたくさんいます。
保護施設の鹿なので、餌をあげるのは、金網越しです。
鹿用のドングリも置いてある場合は、鹿にあげることができます。
保護施設で栄養をたっぷりつけて、元気に奈良公園に出て行ってほしいです。
鹿苑の見学できる場所は鹿のクイズがあったり、鹿を見て学ぶことができます。
奈良の鹿が紙を食べてしまっても大丈夫なように米ぬかでできた紙袋
観光客が増え、鹿の誤飲が増え、鹿と人間が共存する社会を1300年以上守ってきた奈良は、さまざまな対策に取り組んでいます。
現状と取り組みは下記です。
- 鹿のビニール袋誤飲の問題
- 鹿が食べても優しい紙袋
- 一番は食べられないこと
鹿のビニール袋誤飲の問題
鹿には、紙袋だけでなく、ビニール袋の誤食問題があります。
ポイ捨てされたビニール袋を餌と思って食べてしまい、消化されずに胃にたまって死に至るケースが発生しています。
一般財団法人「奈良の鹿愛護会」によると、死亡した鹿の胃から重さ3.2㎏におよぶビニール袋の塊が出てきたそうです。
胃に異物が詰まっているので、他の食べ物を栄養として吸収できず、ガリガリにやせてしまうと言います。
鹿が食べても優しい紙袋
鹿がビニール袋を誤飲してしまう問題から、鹿が誤って食べてしまっても、鹿への負担が少ない材料で作られた紙袋(鹿紙)が開発されました。
鹿紙は、再生パルプに米ぬかを配合し、インクも植物由来のベジタブルインクを使用。
ぬかを配合することによって鹿に与える影響を減らすと同時に、循環型社会を目指すSDGsの目的もあるとのことです。
袋には「鹿に紙や人間のお菓子等の異物を食べさせないでください!」との注意書きが3ヵ国語で書かれていて啓発活動の一環にもなっています。
一番は食べられないこと
ごみのポイ捨てをしない、あるいは鹿に鹿せんべい以外をあげないことに徹底し、鹿が食べてしまわない環境を作るのが一番です。
しかし、実際は、ごみのポイ捨てはなくならない、鹿せんべい以外の物をあげてしまう観光客は後を絶ちません。
本当は訪れた人が少しの意識を持つだけなのですが、それが簡単なようで難しい状態です。
鹿が安全に暮らせるようにするために、鹿と共存してきた地元の人々が、鹿を守るために動いています。
奈良の鹿に会いに行くときはカバンひとつにして、紙袋やビニール袋を持たずに、鹿と触れ合うことが最もいいでしょう。
お土産などの買い物は、鹿と遊んだ後、最後にするのが望ましいです。
どうしても紙袋やビニール袋を持ち歩く場合は、鹿に気にさせないように、鹿の目に入らないように、早歩きで移動するのがベスト。
立ち止まってしまったら鹿が寄って来るので、食べさせないように注意が必要です。
奈良の鹿が間違って紙など食べてしまわないように
奈良の鹿が間違って紙など食べてしまわないように気を付けましょう。
奈良の鹿は、国の天然記念物に指定されている野生動物です。
間違っても紙袋やビニール袋を誤飲させないようにしましょう。
鹿が食べるのは、鹿せんべいのみです。
奈良公園には鹿がたくさんいます。
鹿は、穏やかで危害を加える動物ではありません。
おしりもハート型で、前から見ても後ろ姿もかわいい動物。
ただし、間違ってなんでも食べてしまうので、鹿に勘違いを起こさせないように注意しましょう。